“北欧 スウェーデン” と聞いて何を想像しますか?
「IKEA」「VOLVO」「Spotify」「オーロラ」「白夜」「長くつ下のピッピ」「ABBA」
・・・意外にも日本人に馴染み深いものも多いのではないでしょうか。
大学時代に交換留学でスウェーデンで過ごしていたことがあります。
その当時のことについて、こちらの記事でも少し触れています♪
フード系について言えば「ミートボール」「シナモンロール」「サーモン」あたりが有名どころですが、実はスウェーデンにはもうひとつ、隠れた国民的人気スイーツがあります。
その名も『Semla(セムラ)』。
恐らく聞きなれない方が多いと思いますが、毎年1-3月頃、季節限定で多くのベーカリーやカフェのウィンドウにずらりと並ぶこの『セムラ』。
スウェーデンの長く暗い冬が終わりに近づき春を待ち望む季節の風物詩として、昔から国民に親しまれている伝統菓子です。
現在私が生活しているのは、スウェーデンとは自然環境が全く異なる常夏シンガポールですが、先日スウェーデン人オーナーの経営するベーカリーがあると聞き伺ってみることに。
すると、なんとそこにはパンだけでなく、あの『セムラ』が所狭しと並んでいるではないですか・・・!
スウェーデンからの帰国以来、かれこれ7年間口にしていなかった『セムラ』。
あまりにも懐かしく、そしてこの常夏の国でお目にかかれるとは露程も想像しておらず、衝撃と興奮冷めやらぬままに購入。
今回はそんな『セムラ』の伝統と魅力、そして、それを購入したベーカリー「Konditori」の情報をお伝えしたいと思います。
Contents
『Semla(セムラ)』とは?!
起源はキリスト教の古い断食習慣にさかのぼる
冒頭に「季節限定」スイーツとお伝えしましたが、これはキリスト教の古い風習と関係しています。
その昔、イエス・キリストの復活を祝う “イースター” の40日前から断食をすることで、イエスが十字架に至るまでの苦難を思い起こしていたそうですが、この断食直前の3日間を “Fastlagen(ファストローゲン)” と呼び、断食に備えて栄養価の高い贅沢品を食べる習慣がありました。
そのハイカロリースイーツのひとつが、スウェーデンでは『セムラ』だったわけです。
ちなみに、火曜日にあたるこの断食前日は、”Fettisdag(フェットティースダーグ)” 訳して「脂肪の火曜日」と呼ばれていたとか。
「脂肪の火曜日」・・・なかなか衝撃的なネーミング。
いかにハイカロリーなのかが分かる表現で複雑ですね。
その後、スウェーデンではこうした断食の風習が衰退してゆき、”Fettisdag” から “イースター” までの約1か月間、“毎週火曜日にセムラを食べる” という習慣に変化。
1-3月頃、春を待ち望む季節に食べる伝統菓子として、今でも老若男女、国民に愛されているのです。
スウェーデンはなぜか「パンケーキの日」とか「シナモンロールの日」とか、「○○の日(~dag)」を作るのが大好き。食べ物ごとに色々あります。
毎週木曜日は「パンケーキの日」だったので、当時付き合っていたスウェーデン人の彼がよく「今日はパンケーキの日だ♪」とウキウキと生地を焼いていたのを思い出します(懐かしい)。
背徳感がたまらないハイカロリースイーツ
では、そんなハイカロリースイーツ『セムラ』とは一体どんな味なのでしょうか。
見た目はシュークリームのようですが、味は想像と全然違います。
まず、ふわふわのパン生地にはカルダモンがたっぷりと練りこまれていて独特の風味。
そして、中にはどっしりとしたアーモンドペースト、更にこれでもかと言わんばかりのホイップクリームをのせたお菓子です。
これが基本形のセムラですが、現在ではクリームにベリーやチョコレートなどのフレーバーをつけたり、パン生地がちょっと硬めなクロワッサンのような生地だったり、お店によって独自に自由に進化させています。
「Konditori」のセムラも、オリジナルのほかチョコレート味などもあるようです。
断面をご覧の通り、アーモンドペーストとホイップクリームがぎゅうぎゅうに詰まっています。
パンはふわっと軽めで、クリームも甘すぎないので、意外にもぺろりと食べれてしまう不思議。
ハイカロリーなので、我が家は夫婦ふたりでシェアしました。
長野県出身の私的には、長野のご当地グルメ「牛乳パン」がそれに近い味だと思いました。生クリームのたっぷり入ったパンを、大きな口を開けて食べるのが最高です。
牛乳パンが分かる方は、”カルダモン風味のオシャレな牛乳パン” とイメージするとよいかも・・・?!
https://www.haconiwa-mag.com/life/2019/06/gyunyu-pan/
今年のナンバーワンセムラはどこだ?!国民熱狂の春の風物詩
そんな『セムラ』ですが、毎年その時期になると「今年の街のナンバーワンセムラはどこだ」とメディアまで騒ぎ始める程の熱狂っぷり。
普段はケーキが陳列されているはずの場所に、「自分の番がやってきた!」と言わんばかりの存在感でショーケースを埋め尽くします。
私も当時ストックホルムの有名店まではるばる足を運んで食べた記憶がありますが、周囲のスウェーデン人も嬉しそうにセムラを頬張っいたのを思い出します。
スウェーデンの公式サイトにもその由来や伝統が紹介されている『セムラ』。
しっかりと国の伝統菓子としての地位を確立しているようですね。
アラブストリートのスウェーデン式ベーカリー「Konditori」
街の喫茶店「Konditori」
「Konditori」とは、スウェーデン語で「街のパティスリー&カフェ」「喫茶店」を意味します。
そのため、スウェーデンにも “~ Konditori” と名の付くカフェを見かけました。
シンガポールの「Konditori」は、現在イートインスペースなどは設けられていないのですが、その名の通り待ちのパン好きを魅了するベーカリーとして、種類豊富にパンやデザートを販売しています。
キッシュやベーグルなど見た目もおしゃれなパンがずらり
アラブストリート界隈に位置することもあり、ハラル系のベーカリーなのだそうですが、店内には思わず声を上げてしまうような見た目も美しいパンがずらり。
キッシュやベーグルなどの食事系から、デニッシュやスコーンなどのスイーツ系まで、常時20種類近い品揃え。
平均的な価格帯は$4~8程度と、決して安い値段ではありませんが、ひとつひとつのサイズ感がかなりボリューミーです。
今回ご紹介した『セムラ』も店の一番奥、デザートのショーケースに鎮座しておりました。
横のタルトと比べてもどっしりと大きく、異様な存在感を放っていますね。
ちなみに、本場スウェーデンでは1-3月頃の季節限定で店頭に並ぶものですが、こちらの店舗ではセムラオフシーズンな5月でも購入することが出来ました。
旅行が難しい今、スウェーデンの国民的スイーツ『セムラ』で北欧を感じてみてはいかがでしょうか?
系列店『FIKA Swedish Cafe And Bistro』
ベーカリーとして営業中の「Konditori」ですが、実は近くにある「FIKA Swedish Cafe And Bistro」というスウェーデン料理店の系列です。
シンガポール人の奥様と、スウェーデン人の旦那様が夫婦で営んでおり、「FIKA Swedish Cafe And Bistro」ではスウェーデン本場仕込みのミートボールやワッフルなどを頂くことが出来ます。
まとめ
Konditori Artisan Bakes
住所:33 Bussorah St, Singapore 199451
営業時間:10:00-19:30
定休日:なし ※特定の祝日など臨時休業日あり(2021年5月現在)
ウェブサイト:https://www.konditori.sg/
Instagram:@konditorisg
TEL:+65 6209 8580
※2021年5月時点の情報です。最新の情報は必ずご自身の責任でご確認ください。
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