「カウンターの寿司を食べるならやっぱり日本人の板前さんでないと!」
そう思っていた私ですが、その概念を見事に崩されたお店があります。
その名も、「Hiryu(飛龍)」。
シンガポール人シェフ “Raymond Tan” 氏による、創作和食・寿司を提供するレストラン。
木の香りとぬくもりを感じるシックな店内で、日本から空輸された質の高い魚介、更に和食ならではの繊細な調理を施されたメニューの品々を頂けば、「ここは日本!?」と錯覚を覚えること間違いなし!
Contents
東京、そして、シンガポールの有名和食店での修行
シンガポール人シェフ “Raymond Tan” 氏は、これまで様々な和食店で修業を積んでこられました。
まず、日本との関係のはじまりは19歳。
日本語教師をしていた叔母のススメで、日本語習得のため単身渡航します。
勉強の傍ら飲食店のアルバイトを始め、朝晩はキッチンで、昼間は勉学に励み、多忙な毎日。
そうこうしているうちに料理にのめり込み、当初3カ月の滞在予定が、あっという間に2年にまで延びたそう。
その後シンガポールに帰国しますが、飲食の道に進むと決め、有名な和食店で更に修行に磨きをかけます。
こうした人気和食店では、尊敬する日本人シェフとの出逢いなどもあり、料理への情熱や姿勢に感銘を受けてきました。
こうした修行を経て、2018年にご自身の技術を結集し満を持してオープンさせたのが、「Hiryu(飛龍)」です。
炉端焼きや寿司、和牛など、日本の人気料理を広く学んでこられたことが、現在の飛龍での創作和食料理に繋がっているのだなと感じます。
また、現在はコロナの影響で日本への渡航が容易ではなくなりましたが、以前は年に一度は日本に行き、数日限定で寿司店で働いたり、日本のシェフとも交流を深めるなど、意欲的に技術を磨き続けてきたそうです。
メニューはおまかせでもアラカルトでも、ランチ利用も可
人気はシェフのおまかせメニュー。
$188と$258の2種類から選ぶことが出来ますが、アラカルトメニューもいくつかあるので、追加で気になるものをオーダーする方々も多いのだとか。
ランチ利用も可能で、ばらちらしやお寿司のセットを、ディナーよりもお得にいただくことが出来ます。
シグニチャーの “おまかせコース” をディナーにいただく
今回はディナーのおまかせコース “RYU” $188 を頂きました。
季節のお刺身三種
中トロはねっとりとした程よい脂の乗り具合。
かんぱちは軽くスモークされており、特製和風オニオンソースと一緒に頬張れば一層豊かな香りが広がります。
削りたての柚子皮が程よくかかったひらめはさっぱりと。
一皿目から満足度が高く、後に続く料理に一層期待が高まります。
温かい前菜
「春の風物詩、蛤が食べられるなんて・・・」
時は3月下旬、日本の桜を恋しく想う春の季節に、旬の蛤を和食としていただけるとは。
ひたすら感動。
殻ごと丸々揚げてあるのですが、上にかかっているソースはなんとうなぎの甘ダレ。
ぷりっぷりの蛤と、サクッと揚がった衣がなんとも言えない食感。
夫婦で無言で微笑み合いながら、春の味を堪能しました。
寿司6種
お待ちかねのお寿司。
幼い頃から「好きな食べ物は?」と聞かれると、大抵「寿司!」と即答していた私なので、とても楽しみにしていました。
日本から取り寄せたこだわりのネタが美味しいのはもちろん、赤酢を使った酢飯は空気を含んでふっくらと、シャリは小ぶりの提供で、とても私好みでした。
それから、「ガリ」にも注目。
脇役扱いでないがしろになっているお店には幻滅しますが、こちらでは美味しいガリが用意されており、途中で追加をいただきました。
前菜のひらめと同じく、削りたての柚子皮を散らした一品、真鯛。
厚めにカットされているのと、程よく脂がのっていて、噛めば噛むほど甘い。
白身魚×柚子のコンビネーションは無敵。
アジの中でも特に美味しいシマアジ。
脂乗りも良いので、青ネギの薬味が味を引き締めて良い仕事をしてくれています。
北海道産のほたてに、醤油、そして、最後に生のかぼすをさっと絞りかけた一品。
かぼすと一緒に食べるのは初めてですが、これはよく合う!
北海道産のバフンウニ。
ウニ自体が美味しいのは勿論のこと、海苔まで薫り高く美味。
追加で頂いた炙りエンガワ。
アラカルトで炙りのみの5貫セットが存在しているほど、こちらの店舗では炙りにもこだわりあり。
脂がほどよく溶けだすまでバーナーでさっと炙ったエンガワは、香ばしさと甘さがGOOD。
今回の寿司ネタの中では、一番印象が薄かった甘エビ。
美味しいけれど、格別というほどではなく、普通。
沖縄の名物「雪塩」をひらりぱらりと掛けた大トロ。
寿司のトリを飾るには相応しい寿司の王者。
大トロは脂身も多いので、塩で頂くのもさっぱりして良い!
雪塩は、きめが細かくまろやかな味わいが特徴なので、寿司ネタの邪魔をせずに美味しくいただけます。
欲を言えば、お寿司の最後には甘めの卵焼きが食べられたらなおよしですね。笑
ミニ海鮮ちらし
ネギトロ・いくら・ウニ、そして銀箔が添えられた豪華ミニちらし。
某回転寿司で頂くものとは違い、いくらは粒が大きくぷちっと食感が良き。
ウニは北海道から仕入れた自慢のネタらしく、寿司に続き二度目の登場。
お米の量は控えめなので、ぺろりと平らげました。
ちなみに、もうランク上のおまかせコースを頼むと、このちらしは更に豪華度が増し、A5ランクの宮崎牛やトリュフなどがのっているそうです。
贅沢~!
本日のスープ
絶妙なタイミングで、本日のスープが運ばれてきました。
今回は、もずく・わかめ・豆腐の入ったお吸い物。
写真では沈んでしまっていますが、細かく刻んだミョウガも入っており、食後にぴったりのさっぱり味に仕上がっていました。
食後の和スイーツ
わらびもちと、マカロン。
わらびもちは自家製で、きなこと黒蜜もたっぷり。
日本に思いを馳せながら嚙み締めました。
もうひとつのデザート、マカロンは他店から購入しているそう。
もしほうじ茶味とかだったら最高だな~、と話していましたが、実際はキャラメルバニラ味。
最後は洋風でしたね、さすがに欲深過ぎました。
しかし、味はバニラビーンズがしっかり練りこまれていて甘すぎず、とっても美味しいマカロンでした。
(おまけ)今後の新たな新業態にも期待!
現在は創作和食・寿司店として「Hiryu(飛龍)」を営業していますが、実は今年中に別業態で開業予定があるとか。
もう少しカジュアルに、創作ラーメンを考えているそうなので、今後の続報に期待です。
まとめ
「もう少し旬のお野菜が食べたいな」とか「甘い卵焼きもあったらな」とか、料理に対して若干改善点はあると思いますし、正直決して安いとは言えない価格設定ではありますが、ここ異国で、日本の食材が、日本クオリティの調理・味付けで頂けるのはなんとも嬉しい限り。
日本人シェフの王道和食も良いですが、たまには気分を変えて、シンガポール人シェフの創作和食を味わってみるのはいかがですか?
HIRYU 飛龍
住所:39 Tras St, Singapore 078978
営業時間:【ランチ】12:00-14:30【ディナー】18:00-22:30
定休日:日曜日(2021年4月現在)
ウェブサイト:https://hiryu.sg/
Instagram:@hiryusg
E-mail:raymondtan@hiryu.sg
TEL:+65 6788 9188
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